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小さな佛像の版画の前に立ちどまって、私は思わず手を合わせた。暖かい心の通いがあったからである。0.6ミリの尖筆で描かれた厳しい黒線が純白の日本紙を刻み込んで、強い立体観を出している。本当に見事だ。不思議な世界だ。
武田仁さんは、十年前にお母さんを亡くされ、それが動機となって佛画をライフワークとして描き続けるようになったと聞く。仁さんのお母さんの誕生日がお釈迦様と同じ四月八日。そして私がちょうど一廻り上の同じ丑年、生まれも神田と深川の下町っ子。とくれば、それこそ「佛縁」としか言いようがない。「父母の恩、重きこと天の極まり無きが如し」という武田仁さんにお会いしてから、一段と亡き父母への思慕がつのる。佛壇の祈りも真剣である。 |